【前編】栄光と悲劇の面影を残すベルリン ~コンブチャが醸す新しいカルチャー~

前回のコラムは読んでいただけただろうか。
僕なりに必然を感じて行くことに決めたのだが、その舞台裏は航空券が予想の半分以上安かったからというのがことの内情だ。行けるはずがないと思っていた見えざる壁がゆっくり崩れると出発までの時間は早かった。

事前にわかっていたことなので対策済みのつもりだった。本やPCを用意して読書と仕事、そしてシンガポール観光まで。空港でのコンブチャ捜索も実は楽しみにしていた。そんな旅程をイメージで搭乗ゲートに行って、スムーズに搭乗。
肩をトントンとされて起きた時にはもう飛行機は着陸を終えて、まわりにはお客は残っておらず、眠気眼で飛行機を降りると、中国語と英語の文字がドーン。

「Welcome to Taiwan」

あっ、乗り間違えた。
いや、まてまて。飛行機でそれはない。
すると、少しやる気のないスタッフがシンガポール行きの案内をしている。

ここでシンガポール行きの飛行機を待つこと5分。目の前でPCを開いているのはこの間会ったばかりのあの二人じゃないか!?「Hey」とか言って声掛けてみると、やっぱりそうでzesteaの二人だった。互いにwhy,why(ワイワイ)言いながら、一足早く僕のkombucha summitが始まった気がした。

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乗り継ぎの度に隣の座席と仲良くなるのは、飛行機ならではいつも楽しい。
台北~シンガポール便ではAI関連のスタートアップをしている青年、
シンガポール~ベルリン便ではバリで1か月のバカンス帰りのドイツ人女性、
どちらも色々と現地で案内してくれて、ドイツの方には彼氏の迎えがあるからと、ホテルまで送迎してくれた。
二人に共通するのは、コンブチャをほとんど知らない。なんなら興味があるから話を聞かせてくれと、連絡先まで交換した。コンブチャのカンファレンスが存在し、そのために日本からはるばるベルリンへ向かう僕を、気持ちいいくらい笑って面白がってくれた。

車窓から眺める空港から中心街へ向かう景色のグラデーションは想像以上にどこか冷めた印象。ドライバーの彼が教えてくれたのは、東西ドイツ統一後、廃墟となった工業施設や発電所を再利用した設備が、壊されることなく文化施設として活用しているからと話してくれた。

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本番明日からなので、ベルリン一日目は中心街を散策。
歴史の遺構を残しながら、ガラスやコンクリートの建築も違和感なく存在している。
この一体感はなんだろう。あらゆるもの受け入れながらも一貫したストイックな拘りを感じる、力強さが感じられた。

さて、そろそろコンブチャを飲もうかと、bioを打ち出したスーパーを数件回るものの1-2種類が精一杯。アメリカに比べると生活のすぐ側にある存在ではないよう。事前に調べていたカフェで休憩。ここにはコーヒー豆を精製する際に産まれる果肉の部分を乾燥させたカスカラを使用したコンブチャを迷わずオーダー。

誤解がないようになのか、ショップスタッフにはコンブチャがコーヒーではないことや酸味が特徴的であることなど、念押しの説明がある様子をみるとコンブチャ市場はやはりこれからなのだろう。
「BOUCHE KOMBUCHA」「ROY KOMBUCHA」など非常にクオリティの高いコンブチャも一方で存在するので、 国民的飲料のビールにワイン、それに続く形でコンブチャが来る日が待ち遠しい。

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ABOUTこの記事をかいた人

Hajime Kadota

_SHIP KOMBUCHAブリュワー。 ファッションの専門学校を卒業後、日本特有の本藍染技術に魅了され京都の工房で藍染職人として着物や有名アパレルブランドの藍染を行う。 お客様へ自身が発酵に携わった製品を届けたい想いが強くなり、お茶を発酵させたスパークリング飲料「コンブチャ」と出会い、大泉工場へ入社。 自身がアルコールが得意ではなく、アルコールを飲む人も飲まない人も楽しめるような飲料を作りたいと想い2020年から_SHIP KOMBUCHAのブリュワーへ。 大切にしているのは「誰も取り残さない世界」。 アルコールもノンアルコールも同じ世界で楽しめる世界をつくりたい。