OKS CAMPUSに80有余年、佇む洋館

こんにちは

今回コラムを担当します。大泉工場の内田です。

私たち大泉工場の従業員は、歴史的価値のある建物を使用させて頂き、仕事をしています。

それがどのような建物か、お話させて頂きます。

カトリック松が峰教会

大谷石を使った教会建築。鉄筋コンクリート造(RC造)に大谷石が貼り石されています。

栃木県宇都宮市にある教会およびその聖堂。大谷石建築としては現存最大級のロマネスク・リヴァイヴァル建築であり、1998年に国の登録有形文化財に登録。創立130年、聖堂は献堂90年を越える歴史があります。

旧帝国ホテル(ライト館)

ホテルは、鉄筋コンクリートと煉瓦コンクリートの複合構造で構築されています。そしてその表層には、日本で手に入る自然の材料にこだわり、栃木県で産出する大谷石や愛知県の常滑で焼かれたスダレ煉瓦を使った装飾性豊かな外装で、その中でも大谷石は特に多用されているそうです。(残念ながら現存しません。)

大泉工場の洋館

1938年に建てられた日本では数少ない大谷石を積み上げた造りとなっています。

ご紹介した2棟との大きな違いは、鉄筋コンクリートの表層に装飾した造りではなく、縦22㎝×横62㎝×幅26㎝に切り出された大谷石を何段にも積上げて構築されています。

現在は当時のままの大谷石の壁を最大限に引き立たせたリノベーションを施し、事務所として使用しています。

大谷石とは

大谷石は約2000年ほど前に火山の爆発によりできた火山灰性の物質が、海水中に蓄積し凝固してできたもので凝灰石の一つです。火山灰や軽石岩片が固まってできた石のため、ほかの石よりも軽くて軟らかく加工がしやすい石材です。1923年関東大震災で帝国ホテルが焼け残ったことより、耐火性にも優れているといわれています。

採掘の歴史は古く江戸時代中期から農閑期に採掘が行われていました。明治時代に入ると産業として本格化し、昭和30年代に入るまで手作業による採掘が行われていました。

建物に使用されると何が良いか

大谷石にはこのようなメリットがあるといわれています。

・マイナスイオンによる癒し効果

・遠赤外線によりカビ発生を抑制

・吸音率がコンクリートと比べて高く、音が響きにくい

・ゼオライトとはスポンジ状の小さな穴を持つ鉱石なので、ホルムアルデヒド*1の除去効果、調湿効果、蓄熱効果、熟成効果

ちなみに大谷石が「蔵」に用いられるのは、「遠赤外線によりカビ発生を抑制」と「熟成効果」の相乗効果により、ワイン、日本酒、チーズ、ハム、漬物などが美味しく仕上がるからだそうです。

自然の力が生み出す、最高の環境の中で働けている私たちは、感謝の気持ちでいっぱいです。

*1家具や建築資材、壁紙を貼る為の接着剤、塗料などに含まれている化学物質

なぜ大谷石建造物は維持管理が難しい

大谷石は、吸水性が高いため、雨水で濡れたり乾いたりを繰り返すと数十年という年数で表層劣化が始まります。特に下の段に行けば行くほど劣化が激しくて、雨の跳ね返りや、乾燥がしにくいことも重なり、ぼろぼろと表層から剥がれて地面に細かい破片が落ちていってしまいます。その寿命は20年〜30年といわれています。

表層に装飾した大谷石が劣化した場合は、表層の張替が可能ですが、大泉工場のように積み上げ式の建物は、劣化した部分を入れ替えることは困難です、日々の維持管理が、80有余年という長きに渡り、現存するのだと思います。

まとめ

古き良き物に新たな付加価値と目的を与え、歴史を繋ぎ現代に合わせて活用して行く、大泉工場(代表取締役 大泉寛太郎)の思いが凝縮された1棟です。多くの皆様に一度、見て頂きたいと思います。

また月に3回ほど、一般非公開の洋館1階をご案内するツアーもご用意しております。

詳細はこちらから

大泉工場CAMPUSは科学、芸術、自然を融合させた環境づくりに取り組んでいます。

「素敵な環境を創造する」ために循環型のコンポスト運用やコンブチャの製造の段階で排出される水蒸気や排水、廃棄物などを可能な限り減らし再利用し、地球環境にやさしい循環型農業を実践しています。

ABOUTこの記事をかいた人

uchida

卒業後、食品会社で経理財務と食品衛生の基礎を学び、食品工場の立ち上げを経験。地域の少年少女スポーツ活動にボランティアとして30年余り携わり地域に活性化のお手伝いをしています。また、障害者職業生活相談員等の資格を保有し、一人でも多くの人が楽しく働ける環境づくりを心掛けています。