挑戦から学ぶ:シンガポールの成功と私たちのアクション

毎月100km走っているのに、フルマラソンに出ない理由が「エントリー期限をことごとく逃してしまう」という自堕落さに歯止めが効かない、KANです。

先日、川口市役所ご一行様と共に、シンガポールに行ってきました。

あまりこのコラムで、シンガポールについて書き連ねても、あまり意味がないと思うので、そこはさらっとご説明した上で、自分の考える、これからのアクションについて述べたいと思います。

■そもそもシンガポールってどんな国?

1972年に観光局が設置した、「ライオンの町」伝説に由来する名前がつけられた「マーライオン」

Wikipediaで調べていただければ、なんでも知れるこの時代。自分的解釈で一言、シンガポールという国を述べるとすると、

「VisionとTechnologyで進化し続ける小国」。

ご存知の方も多いと思いますが、国土は東京23区より少し広い程度の728㎢。人口約600万人の中華系(74%)、マレー系(13.5%)、インド系(9.0%)など多民族が暮らし、最新技術で挑戦し続ける国です。ちなみに調べたところによると、日本の都道府県の中で最も面積の小さい香川県(約1,877㎢)よりも小さい。

面積も人口も、とってもコンパクト。

それにもかかわらず、世界的に有名な建築物や食文化があるのは、世界最先端のテクノロジーをいち早く取り入れ、国をあげて挑戦していく文化があるからと、現地の方々との交流の中で、感じました。

元々、禿げ上がった土地を、半ば強制的に独立させられたシンガポール。

埋め立てることで徐々に国土を拡大するとともに、人口的に植えられた植物の育成にも、多くのテクノロジーが活用され、良くも悪くも虫が少ない!

空港から出ると、緑あふれる景観が広がる

自然災害がほぼないことから、見たこともないような独創的にデザインが施されたビルの数々は、遠目で見ていても、好奇心を駆り立てました。

一方、ほぼ毎朝、気温が上がりきる前に街中を10kmほど走っていましたが、とても近代的なビル群を抜けると、まだまだ手付かずの緑地が広がり、開発真っ只中。この小国の挑戦は、まだまだ続くのでしょう。

■資源はないけどVISIONはある

シンガポールの急激な高度成長。

その要因はなんといっても、建国の父と言われ、今でも多くのシンガポール人たちに支持されていると言われる、リー・クアンユー氏が実行した、下記の3つの事柄が、大きく影響したとのこと。

1.当時は当然のように横行していた「賄賂」を絶対認めないということを実行

2.人種と宗教の自由の実現を目指した法律を整備した

3.政府機関を組織から築き上げることで、ベストな人事を実行した

今では当たり前のことばかりかもしれませんが、1965年の独立当時は、画期的なアクションだったのでしょう。

近代的なビル群、、、皆さんのイメージされるシンガポールの夜景

これらの取り組みを貫き通せたのは、彼が「小さな国でも、人々が勤勉で高度な教育を受け、清潔で安全な社会を作れば、世界で成功できる」という明確なVISIONを掲げ、それを国民みんなが信じ、動いたからに他ならないと考えています。

リー・クワンユー氏亡き後も「30 by 30※」のような、資源のない中で、いかに自給率を上げていくかという大きく難しい課題について、国をあげてチャレンジする姿勢が、この国には根付いていました。

※30 by 30・・・2019年に計画された、「2030年までに食料自給率を3倍にすることで、国民の栄養需要の30%を、自国で生み出せるようにする」取り組み。これによって食料の輸入依存度を減らすことを目指す。

■挑戦なきところに成長なし

できない理由を見つけるより、どうすればできるかを導き出す姿勢が、この国にはあるなと感じました。

その象徴とも言える場所を、二つ紹介したいと思います。

一つ目がone-north(ワンノース)。

赤道から1度北にあるという理由で名付けられたこの施設は、政府が開発した、約200ヘクタールのビジネスパークで、研究開発やハイテク産業の拠点となっています。敷地内には、衣食住働遊が全て揃っており、幅広いテクノロジー関連のプロフェッショナルも常駐していることで、新たな価値を生み出すための要素が、ベストなコンディションで用意されています。

シンガポールは前述の通り、国土が小さく自然資源がない、が故に自国民の教育水準を高めるとともに、他国からの投資の受け入れが、経済発展のために必要と考えられており、このような施設も、世界に向けて開かれています。

ちなみに、法人税率が17%と、世界的に見ても低い水準で設定されていることも、同じ理由です。

今回のツアーで最も印象に残ったone-north。また機会を見て皆様に情報をシェアしたいと思います。

One-northのデザインは、新国立競技場のデザインコンペで一躍有名になったザハ・ハディット氏によるもの

もう一つの注目施設は、先ほどの「30 by 30」を達成するため、国内でも注目を集めている垂直型農業※※を実践しているSKY GREENS。こちらは10年ほど前から、時代の先を見据えて事業を展開している、先進的な企業。

総面積の1%しか農業地区でないシンガポールにおいて、その問題点にいち早く着目しスタートした垂直型農業。こちらの施設では、ただ単に縦に農業をするだけではなく、ゼロカーボンも目指した仕組みで、野菜を作っていました。調べたところによると、世界初の低炭素型水力駆動の垂直型農場を開発した企業。

施設の規模感はそこまで大きくなかったのですが、現地の若い社長さんが、「このシステムを都市部に導入することで、食料自給率向上に貢献し、未来を変える」と目をキラキラさせながらお話しされているのが、印象的でした。

※※垂直型農業(バーティカルファーミング)・・・畑の代わりに建物の中で棚を使い、野菜を育てる新しい農業の形。土地が少ない場所でも多くの野菜を育てられ、水やりや日光も効率よく管理できる。

1つ6メートルのタワーで22段、1レイヤーで48株(1048株)の野菜が育てられる。

■これからどうするか

他にも興味深い施設を視察させていただきましたが、改めて、挑戦することの重要性を、肌で感じることができました。そして、それが成功した先に、どう繋がるか、自分だけを潤すのではなく、周りの全てが幸せになることに着目し、アクションすることを、忘れてはいけません。

そのためのポイントとして、

・集約することの強さ

・できることを見つけ、迅速に動く

<集約することの強さ>

One-northには、「技術で未来を変える」を本気で叶えようとしている人々が集まっています。

同じ志を持つ仲間が、身近なところにいることで、相関関係が生まれ、成功の確率が上がる。さらにその分野のスペシャリストにも、気軽に相談しやすい環境がありました。まさに大学のCAMPUSのような場所。

世界のTOP企業であるgoogleやNIKEなども、この考えに基づき、自分たちの本社敷地をCAMPUSと名付けていたことに通じていますね。

埼玉県川口市に位置するOKS KAWAGUCHI CAMPUSも、そういった施設を目指す

<できることを見つけ、迅速に動く>

そして常に「できること」を前向きに考え、迅速に動くこと。

SKY GREENSは、国土の1%しかない農業地区で、食料自給率を上げるにはどうしたらいいかを考え、新しい技術を導き出し、現在も成長し続けています。

できない理由ではなく、こうすればできるのではないかという仮説立てから、失敗を恐れずに挑戦する姿勢が、今につながっています。

振り返ると、2016年、大泉工場でKOMBUCHAの事業を立ち上げる際、賛成したスタッフはほとんどいませんでした。そんな中で、「どうしたら加熱殺菌をしない清涼飲料を、日本国内で流通させることができるか」を考え、その技術を導き出し、日本初の非加熱、さらにオーガニック認証を取得したKOMBUCHAが生み出され、おかげさまで多くのお客様に支持を得ています。

日本有数の、KOMBUCHA専用ブルワリー「_SHIP KOMBUCHA BREWERY

大泉工場の挑戦は、まだまだこれから。今回学んだ「同じ志持つ人たちが集まる環境作り」と「挑戦を恐れない姿勢」を活かし、社内外の交流イベントやプロジェクトを、どんどん進めていきたいと思います!

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