みなさん、人生で初めて食べたパスタの味、覚えていますか?
では、「食べ終わりたくなかったパスタ」はどうでしょう?
自分は、いつどこでというのはあまり定かではありませんが、最も印象に残っているのは、やはり日本の定番ミートソースパスタ(スパゲッティ)。
トマトの酸味と濃厚な味わい、肉の旨みとバターのコクが一体となり、ソース全体に広がる。フォークに巻き取ると、鮮やかに色付いたソースが、もちもちのパスタにまとわりつき、湯気とともに食欲をそそる。
口に運べば、パスタの小麦がかすかに香り、数時間煮込まれたソースの旨味が口いっぱいに広がる。
こんな至福の一皿を、最後の一口を惜しみながら味わう。「終わりたくない」と思いながら。
この「ミートソース」、名前の通り「肉ソース」ですが、ルーツはイタリア・ボローニャ地方にある「ボロネーゼ」。18世紀のイタリアで生まれ、細かく切った肉とトマト、野菜をじっくり煮込んで作られる料理です。日本には戦後、洋食文化とともに広がり、スパゲッティと一緒に親しまれるようになりました。
■1110 CAFE/BAKERYの至高のボロネーゼ
今回の「The Circle of Desire」では、渇望の循環を生み出すヒントを探るべく、私が「食べ終わりたくない!」と心から思う、当社直営店 1110 CAFE/BAKERY の「至高のボロネーゼ」を紹介します。
1110 CAFE/BAKERY は、大泉工場本社敷地 OKS KAWAGUCHI CAMPUS 内に位置する、100% Plant-Based のベーカリーカフェです。2020年6月、「自然・生活・身体、この三つの環境が○(マル)になる」をコンセプトに立ち上げました。
オープン以来、多くの方に支持されるこのカフェで、自分が何度食べても「食べ終わりたくない」と渇望するのが、このボロネーゼなのです。
本当に美味しい、至高のボロネーゼパスタがここにはあります
■旨味の秘密とは?
100% Plant-Basedで作られるため、当然のことながらお肉やバターなどの動物性食材は使いません。その代替として広く使われる 大豆ミート。ここ数年で、多くのメーカーさんが新商品をリリースされているので、一般の方々にも、ある程度の認知が広がっているかと思います。
しかし、この大豆ミートは独特の香りがあり、そのままではクセが強く、美味しく仕上げるのが難しい。多くの方が「大豆ミートって美味しくないよね」と言われる所以が、ここにあります。
ですので、この 大豆ミートのポテンシャルを最大限に引き出す ことが、美味しいボロネーゼを作る鍵になります。
クックパッドなどを見ると、お肉を使った一般的なボロネーゼは、30分ほどで作れる簡単且つ時短レシピが多い。しかし、1110 CAFE/BAKERY のボロネーゼは全く違います。
- 大量の玉ねぎを4時間かけて飴色になるまで炒める
- トマト缶などを加えてさらに2時間煮込む
ここに、1110 CAFE/BAKERYではそのままの大豆ミートをそのまま使うのではなく、下記のプロセスを加えます。
・湯戻ししたのち、さらに水で揉み洗いをして余分な香りを抜く
・ハーブなどで炒めて下味をつける
そして全てを一つの鍋に入れて、丁寧に煮込んで作られるボロネーゼソースは、6時間以上の工程を踏みます。
肉の旨みに頼らず、コクや深みを出すために、 徹底した下処理 と 時間をかけた火入れ が必要なのです。
この丁寧なプロセスを経ることで、大豆ミート特有のクセを消し、まるで本物のボロネーゼのような濃厚な味わいに仕上がるのです。
仕上げに、 OKS KAWAGUCHI CAMPUS 内で収穫した新鮮なローズマリー を加えることで、風味が一層引き立つ。
こうして完成するのが 「至高のボロネーゼ」。
パスタだけではなく、現在はグラタンメニューなどにも応用されています。
ぜひ一度、ご賞味いただければ、この価値を、忘れることはできなくなると思いますよ!
■「食べ終わりたくない」を生み出す技術と想い
このボロネーゼが「食べ終わりたくない」と思わせる理由。
それは、新しいテクノロジーではなく、 職人の技術とこだわりの積み重ねと想いです。
私たちが普段、何気なく食べているものの中に、 「職人の手仕事」 を感じる機会はどれだけあるでしょうか?
大量生産が進む現代において、日本から失われつつある 職人気質。しかし、その手間ひまが生み出す味わいは、渇望の循環を生み出す 「本物の価値」 なのではないでしょうか。
今回のコラムもそうですが、以前シェフに、「レシピを公開しすぎじゃない?」と話したことがあります。その際の、彼からの返答に胸を打たれたことが、今でも鮮明に覚えています。
「レシピをいくら真似しても、そこに想いがこもっていなかったら、本当に美味しいものは作ることができない。」
有機野菜のサラダと自家製スープと一緒に食べられるパスタプレートは、感涙の一皿
確かにそうですよね、実家で親が作ってくれる料理って、プロのシェフが作っているわけでもないのに、どれも美味しい。それには、親が子を想う心がこもっていたからなのですね。
こうした「食べ終わりたくない」体験を、私たちはどれだけの場面で提供できるのか。
次の世代に受け継ぐべき 「本質的にいいもの」 とは何か。
これからも、この問いを探求し続けていきたいと思います。
渇望の循環のヒント:職人の想い
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