10時間を超える長時間フライトの初っ端で寝落ちし、起きたら残りのフライト時間が2.5hだったことが、最近で最も嬉しかったことだった、KANです。
帰りたくない場所、つまりい続けたい場所は皆さんにもあるかと思います。今回はそんな場所について。
自分にとってのそんな場所、たくさんあるのですが、せっかくなので先日(2025年2月16-18日)まで滞在していた、ドイツのWarschauer Straßeをあげたいと思います。
■Warschauer Straßeとは・・・
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Warschauer Straßeは、ベルリンのフリードリヒスハイン地区に位置し、東西分断時代の面影を残しつつも、統一後に急速に発展したエリアです。駅周辺にはストリートアートがあふれ、アーティストや若者が集うカルチャーの発信地となっています。この通りを歩くだけで、多様な文化と歴史が混ざり合うベルリン独特の雰囲気を肌で感じることができます。
自分にとってこの街は、まだまだ未開の場所と言ってもいいくらい、経験は浅い場所。それにもかかわらず、ここにい続けたいと思わせる一つの要因は、この街が放つ、独特の危なっかしさにあるのかもしれません。街中、至る所に落書きが施され、東西冷戦の爪痕が残されたベルリン。その中でも、カルチャーが色濃く根付いているフリードリヒスハイン地区は、自分の内なる好奇心を奮い立たせてくれる。
街中を歩く人々の歩行速度も、ちょっと速く感じます。小さいエリアながら、本当にさまざまな顔を見せるこの街は、熱気と狂気がいい具合に混じり合っているのでしょう。
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■狂気のクラブ「Berghain」
象徴的な場所の一つが、クラブ「Berghain(ベルクハイン)」。週末、ぶっ続けでテクノ音楽が鳴り響く、建物全体が巨大なクラブ施設は、まさに不夜城。旧東ベルリンの発電所跡地をリノベーションした建物内は、異様という表現がとても適した内装となっています。
Berghainは2004年にオープンし、前身は「Ostgut(オストグート)」というクラブでした。メインフロアではハードテクノ、上階のPanorama Barではハウスミュージックが流れ、圧倒的なサウンドシステムと自由で開放的な空気感が、世界中のクラバーを惹きつけています。
もう一つ、このクラブを特徴づけるのが、厳しい入場審査。門番として有名なスヴェン・マルクワルトに選ばれた者だけが入れる仕組みです。写真撮影は禁止され、スマホのカメラにシールを貼られることで、現実世界と隔絶された特別な体験が保証されます。
数年前、初めて訪れ、一度は洗礼(入場拒否)を受けたのち、やっぱりOKとなって入場できたことは、奇跡的な巡り合わせだったと言えましょう。今回は日曜の早朝、ジョギングする際にBerghain付近をコースに入れて見に行ったのですが、数年前と変わらない異様な空気がそこにはあり、ある意味、安心感をもたらしました。
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■食と文化が混じり合う
そしてこのWarschauer Straßeには、数え切れないほどの飲食店が軒を連ねています。日中訪れた、本屋とベーグル屋が融合した「Fine Bagels」は、今、ベルリン内で最も注目を集めるお店の一つ。1 roof 2 businessが成り立っている、独特の世界観がありました。絶品ベーグルを片手に、多くの若者たちが未来について語り合う店舗内に漂う高揚感は、ベーグルの注文に並んでいるだけでもテンションを上げてくれます。
「Fine Bagels」では、クラシックなプレーンからセサミ、ポピーシード、エブリシングといった定番のベーグルに加えて、ヴィーガン対応のスプレッドやサンドイッチも豊富に揃っています。ドイツにいながら、ニューヨークスタイルのベーグルが楽しめるのも嬉しいところ。奥に進むと、所狭しと本が並べられた書棚が目に入ります。英語書籍も多く、アートやデザインに関する本も充実しているため、ただコーヒーを飲みながらベーグルを頬張るだけでなく、読書に没頭することもできます。この空間に身を置くだけで、クリエイティブな感覚が刺激されるような不思議な魅力があります。
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並びには、veganドーナツ専門店「Brammibal’s Donuts」やオーガニックスーパー「DENNS BIO」など、見どころが十分あります。Vegan専門スーパー「REWE voll pflanzlich」もこのエリアにあります。どの商品を手に取っても100% Plant-Basedのgroceryが揃っているお店は、まだまだ世界的に見て少ない。そんな中で成り立たせているこのスーパーは、注目に値します(規模は予想以上に小さかった)。とはいえ、ここではプラントベースの食材や日用品が一通り揃い、特に地元の人々が普段使いしている様子が印象的でした。このような店が日常に溶け込んでいることが、ベルリンという街の多様性と自由さを象徴しているようにも感じます。
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そして夜になると、ボックスハーゲナー・プラッツ広場の周りの飲食店が開き出しますが、その数は、数えきれないほど。その中でも目立つのが、Vegan専門店。当たり前のようにそこに存在し、ジャンルは日本食からタイ料理、ベトナム料理などなんでもあり、多くの人々で夜中まで賑わっています。印象に残ったのは、Plant-Based ケバブ専門店「doen doen」。こじんまりとした店ながら、ひっきりなしに人が集まり、その賑わいが途絶えることはありません。新鮮な野菜やスパイスを使ったケバブは、ヴィーガンに限らず多くの人々から支持されており、深夜まで活気に満ちています。
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■時間が止まり、文化が上塗りされる街
周辺を歩いていると、昼夜問わず、さまざまな表情を見ることができるWarschauer Straße。昼間は観光客や地元の人々が行き交い、ストリートアートに彩られた壁が目を楽しませてくれます。一方で夜になると、ネオンや雑踏に包まれながら、異国にいることを強く実感させられる瞬間があります。この通り自体が、一つの文化の坩堝となっているのです。
新しいフードカルチャーが当たり前のように点在するのは、やはり東西統一後に生まれた新しいカルチャーの融合により、どんな人もモノも受け入れる、この街の魅力なのかなと感じました。
街全体の雰囲気が、時間という呪縛をある種取り除き、カルチャーが上塗りされて出来上がり、素敵に創造されている。そんな空気が漂う場所、Warschauer Straßeは、また戻りたいと思わせてくれています。
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