第0回The Circle of Desire~渇望の循環を生み出すヒント~

年末年始、走りすぎたおかげで、お正月太りならぬ、お正月痩せを実現したにも関わらず、3連休で食べ過ぎ飲み過ぎ3kg増という、自分の欲望に抗えないでいる、KANです。

■新しい連載コラム序章〜やめられない、とまらない〜

みなさん、「かっぱえびせん」というお菓子をご存知でしょうか?

1964年から発売されている、天然えびをまるごと殻ごと使用し、ノンフライ製法で香ばしく、サクサクとした食感を生み出している、「やめられない、とまらない」のキャッチフレーズでお馴染みの、日本発祥のこのスナックは、本当に一度食べ出したら止まりません。

そして最後の一個になり、食べ終えた際の喪失感たるや。

以前、大泉工場で製造販売していたキャラメルポップコーンも、まさにそんなお菓子に昇華していました。甘くて香ばしく、食べる手が止まらない、そんな一品でした。

今は亡き、最愛の存在の一人である祖母が、自分が作ったキャラメルポップコーンを「やめられない、とまらない」と言って、笑顔で頬張ってくれていたことは、かけがえのない思い出の一つです。

この瞬間の暖かさや喜びが、今でも心に深く刻まれています。この素敵な思い出が種となり、皆さんと一緒に考える、新たな連載をスタートしたいという考えに至りました。

子どもも止まらない、幸せ運ぶキャラメルポップコーン

■渇望に気付き、生み出す

先日、行きつけのサウナに入っていてふと、思ったことがあります。

美味しいものを食べていると、最後の一口が近づくにつれて「食べ終わりたくない」と寂しい気持ちになります。こんな「xxxし終わりたくない(そしてまた食べに行きたい)」となる感覚、つまり渇望を満たしたくなる経験が、みなさんにもあるのではないでしょうか?

これは食べ物に限ったことではありません。例えば、それこそサウナ。

サウナ内で気持ちいいけど暑い(出たい!)→早く水風呂に入りたい!

水風呂内で気持ちいいけど寒い(出たい!)→早く心地よい風に当たりたい!

外気浴で、気持ちいいけど、あ、ちょっとまた寒い(行きたい)→サウナに入ろ!

こんな終わりがない、渇望を満たしたくてたまらなくなる、循環する体験を、気軽に味わえるのがサウナです。この循環は、単なる身体的な快楽を超え、心地よさを求める人間の本質を表しているように感じます。

早く再訪したい、Finland HOTEL KATAJANOKKA のSAUNA(外気浴中)

■「渇望の循環」の構造とは?

改めて「最後の一口」を分解してみましょう。

美味しいものを食べる(美味しい!)→食べ続ける

無くなる直前(寂しい!)→食べ終わる

また食べたい(渇望)→食べに行く

美味しいものを食べる(美味しい!)・・・

(循環する)

この「渇望の循環」を生み出し、磨き続けることこそ、ビジネスの成功の大きなポイントではないでしょうか。

例えば、大泉工場の製品でいえば、_SHIP KOMBUCHAがその一例です。ブルワーが手間暇かけて作り上げる最高の発酵飲料は、おいしさだけではなく、自分の身体を中から労ってくれる、唯一無二の飲料。腸内が綺麗になるような体験を続けたいという、渇望を生み出します。

2024年Biofach Japanでも大好評だった、_SHIP KOMBUCHA

■渇望の循環を生み出すヒント

ここまでは、サウナと食べ物の話しかしてきませんでしたが、この「渇望の循環」は、ありとあらゆるジャンルで存在します。

下記するものは、ほんの一例です。

・飲み干したくない(とあるレストランで提供された、ナチュールワイン)

・帰りたくない(新しいプロダクトとの出会いがあるgrocery store)

・起きたくない(自宅のベッド)

・観終えたくない(映像表現が秀逸な映画、例えばアニメ鬼滅の刃)

・読み終えたくない(ワンピースの最新刊)

・手放したくない

・離れたくない

・途切れさせたくない

などなど。

これらをビジネスに活かすには、「どうすればお客様がまた、戻りたくなるか」「どうすれば新たな価値を生み出し続けることができるか」を考えることが重要です。単なる消費ではなく、体験を提供するという視点が、鍵となるでしょう。

Vegan オーダーに対応してもらった、LA Gjustaのオープンサンドは、食べ終わりたくないクオリティ

■有限だから最高だ by 緑黄色社会

最近、よく聴く楽曲があります。

緑黄色社会というアーティストの「恥ずかしいか青春は」という、爽やかでとても勢いのある、心躍る名曲。その中のワンフレーズに「有限だから最高だ」というものがあります。

どんな物事にも終わりはあります。しかし、その終わりがあるからこそ、私たちは「また戻りたい」という感情を抱くのです。

人生だって同じです。「終わりたくない」と思うからこそ、私たちは幸せを追い求めます。そして、その終わりがあるからこそ、人生は最高のものになるのではないでしょうか?

有限だからこそ、私たちは日々を大切にし、その瞬間に渇望を感じます。この感覚を日常やビジネスに活かせたら、どれほど豊かな未来が広がるでしょうか。

「有限だから最高だ」

このワンフレーズには、そのすべてが詰まっていて、いつまでも自分の心に残っています。

そんな「渇望の循環」を探る旅、The Circle of Desire~渇望の循環を生み出すヒント~を、2025年からスタートしていきたいと思います。

モノのみに限らず、ヒト・コト・場所・体験・・・ジャンルは多岐に渡ります。日常生活の中で『終わりたくない』と思う瞬間を意識するだけで、ライフスタイルの改善アイデアや、ビジネスのヒントが見えてくるかもしれません。

みなさんの生活や仕事の中にある「渇望の循環」を一緒に見つけていきましょう。ぜひ、お付き合いいただけたら幸いです!

2017年9月、OKS CAMPUSにて開催した大泉工場創業100周年パーティー「Radiant Party」。2027年の110周年に向け、渇望の循環を探っていきます

Radiant Partyhttps://www.youtube.com/watch?v=maFqHUO3yWg