僕が山に登る理由。そして、ここで働く理由について。

「趣味は登山です」と言うと大概の場合、『なんで山に登るんですか?』という質問が返ってくる。わざわざ聞くということは、多くの人にとって登山というのは魅力的なイメージが持てないということなのだろうか。よく聞こえてくるのは、山登りは苦行、登った分だけまた下りなければいけない何も得しないアクティビティ、何故に辛いことをわざわざ、といったネガティブな声の数々。趣味として昔から超メジャーなのに、実は多くの人に理解されていない?何とも不思議な現象。そんなことをグルグル考えながら日々過ごしている。
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なぜ山に登るのか?へのアンサーとして、『そこに山があるから』という超有名な名言があるが、僕の理由はまったく違う。そもそもそんなセリフを言える境地に達していないことは言うまでもないが、仮に目の前に突然山が現れてもきっと僕は登らないだろう。どの山に登ろうかと考えることから始めるのがとにかく楽しいのだ。

一口に山といっても、日本国内だけで約1万7千もの山があり、地形や気候、見える景色、生息する動物や植物など、山の数だけその個性が違うし、同じ山でも行く季節によってまた表情が変わる。
そんな中から行くべき山を見つけ、どうやって登りどう下山するか、どんな道具が必要か、さらには下りた後にその街も楽しんで帰る。そう、僕にとっての登山は山に上り下りしている時間だけではなく、行きたいと思ったその日から家路に着くまでの工程全体で、ずっとわくわくが続く超ハッピーなイベントなのだ。

だからって、そんなために何時間も辛い思いをしながら荒れた道を上り下りする理由になるの?当然の疑問である。行先決めて、絶景見て、新鮮な空気吸って、美味しいもの食べて、あー楽しかったね、たしかに理由がこれだけだったら観光に行った方がよっぽど良さそうなものだ。
さて、ここからが真の理由。僕が山に登る理由、それは『新しい自分にどんどんアップデートされていくから』。

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例えば登山にはこんなことが求められる。
・天候や自分の実力を考えてどのルートで山頂を目指すのか、計画を立てる。(目標設定、プランニング)
・道に迷わずペース配分しながら、計画通りに登山する。(遂行、マネジメント)
・急な天候の変化や地図では分からなかった難所に遭遇するなど、想定外の事態に対処する。(適応、判断力)
山頂に立つのは結果の部分であって、こうしたプロセスが実に重要なのだ。

山に一歩踏み込めばそこは自然の領域。どんなに準備していても、良いことも悪いことも含めて計画通りになんて事は運ばない。腹が減っても、足を痛めても、寒くても、眠くても、熊と遭遇しても、誰かが何とかしてくれることはない。進むか引き返すか、常に自分で決断することが求められる。引き返すことは決して悪ではない。決める、ということが超大事。レースではないから、勝ち負けや他者との比較もない、すべては自分次第。

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そう、自分次第というのが実は一番難しい。決断によっては、自分にがっかりすることもあるし、この上ない達成感に満たされることもある。山に登る前と後で、ほんの少しだけでも自分が成長したと感じられる。自信が付き、進化した新しい自分になれる。そして次なる目標へチャレンジする。このサイクルを経験してしまうと、もう沼なのだ。だから、人からは苦行に見えることも、やっている方にとってはそれが豊かさそのもの。
僕にとっての登山を端的に言えば『成長を実感できる最高のアクティビティ』といったところだろうか。

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登山の話ばかりしてしまったが、これって実は仕事に対しても置き換えられる。登山を始めたのは5・6年前からだけど、わりと働き方に対してもこんな思いでやってきたことを改めて実感。登山を始めてからのメンタルは、以前よりもさらにポジティブかつチャレンジングに変化した。
気付けば、歩きやすく舗装された道よりも、ゴロゴロして歩きづらい岩場を求め、果てには道なき道を歩くことにもわくわくするように。

厳冬期の山では、登山道は雪に埋もれてしまうので、「ラッセル」と呼ばれる、雪を掻き分けて足元を踏み固めながら道をつくっていく超過酷な作業がある。今、大泉工場の多くの事業で挑戦している「市場の創造」、まさにこれってラッセルそのもの。

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でも、僕がやっている登山との一番の違いは、仕事は仲間とともに挑戦できること。一人で何でも決められないから苦労も絶えないが、一人ではとても出来ないことがどんどん形になる。素晴らしい!この喜びもまた沼なのだ。さぁ、今日もラッセル!

ABOUTこの記事をかいた人

Iwamoto

教育サービス・金融業界にてマーケティング・プロモーション領域のキャリアを経て、2018年より大泉工場入社。PRチームを担当。趣味は登山、ランニング、キャンプ、縄文時代、NBA観戦など、一度ハマると深みにはまるタイプです。