こんにちは!クリエイティブグループ 制作チームのJUNです。
大泉工場の掲げる『地球を笑顔で満たす』『素敵な環境を創造する』に共感して一緒に働いています。
今回のコラムでは、制作チームが最近取り組み始めた「シルクスクリーン印刷」についてお話ししたいと思います。
このテーマを書くきっかけになったのは、Andy Warholの作品を改めて見たことでした。工業印刷の技術だったシルクスクリーンをアートの表現へと昇華させた彼の作品に触れ、「刷る」という行為そのものに新たな可能性をより感じました。版をつくり、インクを混ぜ、一枚ずつ刷る。その手仕事の中には、創造性だけでなく、循環やアップサイクル、そして人の手が生み出す価値について考えるヒントがあるように思います。
シルクスクリーンを“アート”に変えた人
先日、Andy Warholの作品集を改めて見返していました。
鮮やかな色彩で繰り返し刷られたポートレート。同じモチーフでありながら、一枚ごとに色や表情が異なる作品たち。
一見すると大量生産されたイメージのようでいて、どれも不思議な個性を持っています。
「なぜ、こんなにも人を惹きつけるのだろう。」そう思いながら調べていくと、その表現の多くがシルクスクリーンという印刷技法によって生み出されていることを改めて知りました。
もともと工業用途として発展してきたシルクスクリーンを、芸術表現の領域へ押し上げたのがウォーホルでした。
同じ版を使いながら、
- 色を変える
- わずかに位置をずらす
- 重ね刷りをする
そんなシンプルな工夫によって、「大量生産」と「一点物」という、一見相反する価値を同時に成立させたのです。大量につくることができる技術なのに、一枚ごとに違う表情が生まれる。
その考え方に触れたとき、どこか大泉工場が大切にしているものづくりの姿勢と重なるものを感じました。
そしてちょうどその頃、私所属の制作チームもシルクスクリーンを始めたばかりでした。
版をつくり、インクを混ぜ、一枚ずつ刷る、その工程に触れるうちに、シルクスクリーンは単なる印刷技術ではなく、「循環」や「創造性」を考えるための入口なのではないかと思うようになりました。

なぜ今、“手で刷る”のか
スマートフォンひとつで画像をつくり、ボタンひとつで印刷できる時代。
世の中はますます便利になり、「速く・正確に・大量に」が当たり前になっています。
そんな中で、私たち大泉工場の制作チームは最近、シルクスクリーン印刷を始めました。
版をつくり、インクを混ぜ、スキージーで一枚ずつ刷る。
効率だけを考えれば、もっと簡単な方法はいくらでもあります。
それでも私たちが惹かれているのは、「手で刷る」という行為そのものです。
シルクスクリーンの世界を知るほどに、それは単なる印刷技術ではなく、カルチャーであり、思想であり、人の手の痕跡を残す表現なのだと感じます。
海外にはシルクスクリーンを中心に活動するプリントスタジオが数多く存在し、アートポスターやライブポスターを一枚の作品として丁寧に刷り続けています。
大量生産ではなく、少量でも丁寧につくる。
わずかなズレやかすれさえも個性として受け入れる。
その感覚は、私たちが日々向き合うものづくりにも通じているように思います。

そもそもシルクスクリーンとは?
シルクスクリーンは、版の一部だけにインクを通し、絵柄を転写する「孔版印刷」の一種です。
Tシャツのプリントを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
その魅力は、とてもシンプルな仕組みでありながら、驚くほど自由な表現ができることです。
印刷できる素材は紙だけではありません。
- 布
- 木材
- アクリル
- 金属
- ダンボール
- ガラス
など、さまざまな素材に直接印刷することができます。
さらに特徴的なのは、「一色ずつ刷る」という工程です。たとえば三色のデザインなら、三回刷る。
色を重ね、位置を合わせながら少しずつ完成へ近づけていきます。デジタル印刷のように一瞬で仕上がるわけではありません。
しかし、その手間の中にこそ独特の表情が生まれます。インクの厚み。わずかなかすれ。刷る人によって変わる力加減。均一ではないからこそ、人の気配が残るのです。

シルクスクリーンと循環
私たちがシルクスクリーンに可能性を感じている理由のひとつが、「循環」との相性です。
制作現場では、どうしても余り紙や端材、使われなくなった資材が生まれます。
通常であれば廃棄されてしまうものも、シルクスクリーンを通すことで新しい価値を持たせることができます。
余った木材にグラフィックを刷る。廃ダンボールをポスターに変える。古着に新たなデザインを重ねる。
それは単なるアップサイクルではなく、もう一度意味を与える行為のように感じています。
また、シルクスクリーンは小ロット生産との相性も良い技法です。
必要な分だけつくる。
イベントごとに限定で展開する。
まずは試しにつくってみる。
大量生産を前提としないからこそ、今の時代に合ったものづくりができるのではないでしょうか。
印刷は“体験”になる
最近特に感じているのは、完成品だけでなく、制作の過程そのものに価値があるということです。
インクを混ぜる、版を洗う、乾かす、(失敗する)そして、もう一度挑戦する。
その一連の流れには、どこか実験室のような面白さがあります。
“見せる工場”として育てていければと考えています。
たとえば、
- 来場者が実際に刷れるワークショップ
- 廃材を使ったプリント体験
- イベント限定ポスター制作
- _SHIPや1110 CAFE / BAKERYとのコラボグッズ制作
など、シルクスクリーンを起点にさまざまな可能性が広がります。
完成品だけでなく、「どう作られているか」を共有する。
それもまた、循環のひとつの形なのかもしれません。

不完全さの中にある豊かさ
シルクスクリーンには、少しかすれたり、少しずれたりすることがあります。
けれど、その不完全さの中には、人の手が確かに通った痕跡があります。均一で便利なものがあふれる時代だからこそ、私たちは逆に、少し不揃いなものに魅力を感じるのかもしれません!?
一枚ずつ刷る、インクの状態を見ながら進める、同じように見えて、少しずつ違う。
その小さな違いこそが、ものづくりの豊かさになる。
私たち制作チームも、まだ始めたばかりです。失敗もあり、試行錯誤の連続です。でも、だからこそ面白い。
これからも「刷る」という行為を通して見えてきたことを、少しずつ発信していきたいと思います。
シルクスクリーンは、単なる印刷技術ではありません。人の手と素材をつなぎ、捨てられるはずだったものに新たな意味を与え、つくる過程そのものを価値へ変えていく。
私たちにとってそれは、循環を考えるための新しい入口になるかもしれません。






