「捨てるもの」から「つくるもの」へ。

こんにちは!クリエイティブグループ 制作チームのJUNです。
大泉工場の掲げる『地球を笑顔で満たす』『素敵な環境を創造する』に共感して一緒に働いています。

「これ、本当にゴミなんだろうか?」

仕事をしていると、意外とたくさんの「廃材」が出ます。

木材の端材、使い終わったパネル、什器をつくったときの余り、役目を終えた看板や装飾物。

制作しているときには大切な材料だったものも、イベントが終わったり、デザインが変わったりすると、ある日突然「もう使わないもの」になります。

そして気づけば、廃材置き場へ。でも、そこに積まれたものを眺めていると、ときどき思います。

ゴミ箱に入れた、そのあと

私たちが「いらない」と判断したものは、回収されたあと、種類ごとに分別されます。

再利用できるものはリサイクルへ。それが難しいものは焼却や埋め立てなどによって処理されます。

つまり、ゴミ箱に入れた瞬間に消えてなくなるわけではありません。

考えてみれば当たり前なのですが、普段、その先を見る機会はほとんどありません。

だから最近は「どう処分するか」だけでなく、その一歩手前で、

「そもそも、これはまだ使えないだろうか?」

と考えてみる。

世界に目を向けてみると、そんな発想から生まれた面白い取り組みがたくさんあります。

廃材が「次の素材」になっている

◾️ケニアの「Ocean Sole」。

海岸や水路などに流れ着いた色とりどりのビーチサンダルを回収し、洗浄して貼り合わせ、削り、磨きながら、ゾウやキリン、ウミガメなどのカラフルなアート作品へと生まれ変わらせています。

廃棄物だったものが、今度は街や施設で人が足を止めて眺めるものになる。

「廃材=捨てるもの」というイメージを、一気に変えてくれる取り組みです。

ビーチサンダル → 巨大なアートへ。

日本にも面白い事例があります。

◾️大阪・関西万博につくられた商業施設「Umi-Kuru」。

海洋プラスチックごみをアップサイクルして建築に取り入れた商業施設です。

万博会場が海に面した埋立地であることから、海洋プラスチックを建築素材として活用することが提案されました。単に「再生素材で商品をつくる」のではなく、廃材そのものを建物の表現にまで広げているところが面白いです。廃材は、小物やアートだけではなく、建築そのものにもなり始めています。
海洋プラスチック → 商業施設へ。

◾️Focused Skateboard Woodworks|オランダ。

使い古されたスケートボードのデッキを集め、積層された木材の色や模様を生かして、テーブルや家具、内装材などへ再生しています。

ニューヨークのプロジェクトでは、110枚の使い古したスケートボードから2台のテーブルを制作。そのうち1台は長さ3.8mを超える大型テーブルになりました。

スケートボードは傷だらけになったら普通なら役目を終えます。でも、その傷や削れ、何層にも重なったデッキの色を「素材の個性」として見ると、別の価値が生まれる。「使い込まれた跡まで、デザインになる。」
使い終わったスケートボード → 家具へ。

◾️NOTOX × Airbus|フランス

航空機メーカーAirbusの製造工程から生まれた使用できないカーボン素材をアップサイクルしたサーフボードがつくられています。

航空機のカーボン素材 → サーフボードへ。

飛行機のためにつくられた素材が役目を変え、今度は海の上を走る。

素材の性能だけでなく、「以前は何になるはずだったのか」まで含めて、新しいプロダクトのストーリーになっています。

飛行機になるはずだった素材が、今度は波の上へ。

そう考えると、廃材を見るのが少し楽しくなってきませんか。

◾️建物さえも「大きな素材置き場」と考える

もっと大きなスケールで廃材を捉える取り組みもあります。

EUの「ReCreate」というプロジェクトでは、建物を壊してコンクリートを砕いてしまうのではなく、床や柱、梁などをできるだけ壊さずに取り外し、別の建物で再利用する実験が行われています。

フィンランドでは、1980年代のオフィスビルから取り外したコンクリート製の床材を検査・補修し、新しい建物へ再利用する実証も行われました。

建物を「壊したら廃材になるもの」と見るのではなく、「次に使える材料が集まった、大きな素材置き場」と考えてみる。同じ建物でも、見方がまったく変わります。

◾️「捨てる場所」ではなく「素材を探す場所」へ

ベルギー・ブリュッセルの「Rotor Deconstruction」では、解体される建物からドア、照明、床材、タイル、家具、金物などを取り外し、整備したうえで「もう一度使える建築材料」として販売しています。

写真を見ると、そこは廃材置き場というより、巨大な素材店のようです。

また、オランダの「Superuse Studios」では、先にデザインを決めて新品の材料を探すのではなく、周辺にどんな廃材や余剰材があるのかを調べ、

と考えるところから建築を設計しています。

「今あるものから、何をつくれるだろう?」

使い古したボウリング場の床材を家具へ転用するなど、「元は何だったの?」と聞きたくなるものが、新しい空間の一部になっています。

「何だったか」から、「何になるか」へ

こうして世界の事例を並べてみると、廃材には決まった「次の使い道」がないことに気づきます。

ビーチサンダルがアートになり、海洋プラスチックが建物になり、スケートボードが家具になり、航空機の素材がサーフボードになる。

何になるかは、それを見た人のアイデア次第です。新品の材料は、きれいで、色も形も揃っています。

一方、廃材には傷があったり、色褪せていたり、大きさがバラバラだったりします。

普通なら「使いにくい」と感じるところですが、ものづくりやアートという視点から見ると、その不揃いさも一つの個性です。

傷があるから面白い。

色褪せているから格好いい。

形が違うから、組み合わせてみたくなる。

「捨てるもの」ではなく「素材」として眺めてみるだけで、見え方は少し変わってきます。

そして、身近な廃材からそんなことを考えながら、今、我々大泉工場も身近にある廃材を使ったアートプロジェクトが進行しています。

普段なら処分されてしまう木材や制作物などを集め、その形や色、傷、質感をできるだけ生かしながら、一つの作品へ変えていく試みです。最初から完成形を決めて、新しい材料を買い揃えるのではありません。

まず、そこにあるものを見る。そして、「さて、これで何をつくろう?」と考えるところから始まります。

完成した作品を見た人が、「これ、もともと何だったの?」

と少し興味を持ってくれたら、それだけでも、この取り組みには意味があるように思います。

一度役目を終えたものが、人のアイデアと手を通して、もう一度誰かの目に触れるものになる。

次に廃材を見かけたとき、「ゴミだ」と決めてしまう前に、ほんの少しだけ考えてみる。

「これ、何かに使えないかな?」

そんな小さな視点の変化から、新しいものづくりが始まるのかもしれません。