本気のノリが、未来をつくる

知人が仲間たちと数年前に立ち上げた、河口湖畔にある貸別荘に行ってきた。

同行した仲間たちは、総勢約20名。

全員が食に関わる仕事をしている、僕にとっても特別な方々だ。仕事を通じて出会い、今では東京でも定期的に集まる、大切な仲間たちである。

思い思いにナチュールワインをグラスに注ぎ、用意された地元の食材に舌鼓を打ちながら、とにかく語り、笑い合う。

料理を囲んで語り続ける人もいれば、バルコニーに用意されたサウナと水風呂でととのう人もいる。

誰に指示されるでもなく、それぞれが自由な時間を過ごしていた。

僕も仲間たちとサウナに入り、水風呂につかり、河口湖から吹き込む風を感じながら、夜中まで語り合った。

翌朝には、香り高いコーヒーと、地元で採れた新鮮な野菜を使ったサラダなどが並んだ。食事を楽しみ、コーヒーを飲みながら前日の余韻に浸る。

帰る頃には、誰もが「また来たい」という気持ちを残していた。

この施設は、とにかくやり切っている。

そのやり切り方が、尋常ではない。

これを手掛けたのは、大手ディベロッパーではない。

知人が仲間たちと、「こんな場所があったらいいよね」というノリで始めた施設だ。

もちろん、緻密な計算があり、事業として成立させるための計画を重ねた上で、実現させたのだと思う。

それでも、この場所に身を置くと、最初に伝わってくるのは、計算ではなく熱量だ。

普通なら、ここまでやり切れない。

そう感じさせるほどの徹底ぶりだった。

その空間は、仲間たちのノリと熱量によって生み出された、まるで一つの芸術作品のように感じられた。

hotel norm.

今回使わせてもらった約1,000平方メートルの敷地には、4棟の建物がある。

そのどれにも、細部までこだわりが詰め込まれている。

周囲の森と一体化したような外装。

中に一歩足を踏み入れると、定期的に入れ替わるアート作品が出迎えてくれる。

リビングルームには、大きなアイランドキッチンが鎮座している。

開放的なバルコニーには、湖の方向から心地よい風が吹き込み、室内と自然との境界を曖昧にしている。

置かれている家具や照明はもちろん、アメニティの一つひとつまで美しい。

何となく選ばれたものは、一つもないように感じた。

クオリティの高いサウナや浴室も完備され、壁にはドリンクタップが設けられている。

そこからクラフトビールや_SHIP KOMBUCHAを注ぎ、自由に楽しむことができる。

「こんな場所で、大切な仲間と時間を過ごしたい」

そう思わせる贅沢が、ここにはあった。

僕がここでいう「ノリ」とは、単なる勢いや、深く考えずに行動することではない。

面白そうな未来を仲間と信じ、損得勘定だけでは踏み出せない一歩を、共に踏み出していく熱量のことだ。

同じノリを持った仲間同士で、意見やアイデアを出し合い、ときにはリスクを顧みず、自分たちが本当に欲しいと思える場所をつくり上げていく。

hotel norm.には、そんな人たちの熱が、空間の隅々にまで息づいているように感じられた。

作られていく過程を、僕が実際に目にしたわけではない。

それでも、そこにどれほどの議論があり、どれほどの試行錯誤があったのかは、想像に難くない。

新しい事業を始めるとき、普通なら恐怖心が先に来る。

投資額はいくらなのか。

どれくらいの稼働率が必要なのか。

何年で投資を回収するのか。そもそも回収できるのか。

その後、どのように次の事業へつなげていくのか。

ビジネスとして取り組む以上、こうした視点は絶対に必要だ。

勢いだけで投資し、事業を継続できなくなってしまっては、元も子もない。

hotel norm.にも、当然、その計算はあったはずだ。

しかし、実際に利用する僕たちには、採算や回収を優先してつくられた場所だとは感じさせない。

ここまで用意するのか。

ここまでこだわるのか。

ここまでゲストを楽しませるのか。

そう思わされるほど、目一杯の贅沢と遊び心が詰め込まれていた。

立ち上げた知人たちも、最初から自分たちが楽しむことを大切にしていたのではないだろうか。

自分たちにとって最高だと思える場所を計画し、出来上がったら、まずは自分たちが目一杯楽しむ。

その楽しさを目一杯発信し、多くの人たちと共有していく。

つくった本人たちが心から楽しんでいるものには、不思議な説得力がある。

もちろん、全員がこの施設を100%好きになるとは限らない。

どれだけこだわったとしても、すべての人に選ばれる場所をつくることはできない。

だからこそ、自分たちが信じる価値を明確にし、それを好きになってくれる人へ、徹底的に届ける。

そうなることを信じて突き進んだ結果、現在の経営は順調で、すでに新しい施設の計画も進んでいるらしい。

招待してくれた知人と話していると、彼が明確なビジョンを持っていることが分かった。

「河口湖を、日本一のレイクサイドリゾートにする」

最初に聞いたとき、レイクサイドリゾートという言葉に、僕は一瞬戸惑った。

日本では、ビーチリゾートやマウンテンリゾートという言葉に比べ、まだ聞き慣れない表現かもしれない。

しかし、世界を見渡せば、美しい湖のほとりに、その土地の自然や文化と一体になったリゾートが数多く存在する。

それらは単に宿泊するための施設ではない。

建築、食、アート、自然、アクティビティ、そして、そこで過ごす人々の時間までが一体となった、一つの作品のような場所だ。

河口湖にも、その可能性がある。

一つの宿泊施設を成功させるだけではなく、その場所を起点に河口湖という地域全体の価値を高めていく。

知人が口にした「日本一」には、そんな大きな構想が込められているのだと思う。

レイクサイドリゾートに限らず、人を惹きつける場所には、それを手掛けた人々のノリが息づいている。

そこに込められた熱量は、説明されなくても伝わってくる。

そして、そのノリに呼応するように、そこへ集まるゲストたちのノリも良くなっていく。

今回の宿泊体験もそうだった。

どれほど美しい建物や家具が用意されていても、それだけで最高の時間が生まれるわけではない。

食を愛する仲間たちが集まり、ワインを注ぎ、料理を囲み、サウナに入り、自由に語り、心から笑う。

一緒に過ごした仲間たちのノリが、その施設の最後の1ピースとなり、場所の価値を最高潮にまで高めていた。

場所をつくるのは、建築や設備だけではない。

つくり手の熱量を受け取った人々が、そこでどう過ごすか。

そこまで含めて、初めて一つの場所が完成するのだと思う。

新しい事業を立ち上げるのは、正直、怖い。

どれだけ机の上で計算しても、本当にその通りにいくかは分からない。

市場調査をし、事業計画を作り、収支を何度シミュレーションしても、最後に人の心が動くかどうかまでは計算できない。

だったら、どうするのか。

携わる全員の熱量を、徹底的にその事業へ注ぎ込むしかないのだと思う。

「こんなものがあったら面白い」

「こんな場所で過ごしたい」

「こんな未来を実現したい」

そんな純粋なノリを、計画や数字によって消してしまうのではなく、事業として成立させるための力に変えていく。

計算は必要だ。

しかし、計算だけで人を熱狂させるものは生まれない。

僕たちはどうだろう。

「ここまでやってダメなら仕方がない」

そう言い切れるほど、自分たちの事業に熱量を注ぎ込めているだろうか。

失敗の可能性や採算を考えるあまり、自分たち自身がワクワクするようなノリを、どこかに置き去りにしてはいないだろうか。

事業をつくるのは、決して簡単ではない。

それでも、自分たちが本当に欲しい未来を信じ、仲間たちと同じ方向を向き、目一杯やり切る。

それでダメなら仕方がない。

そう言い切れるくらいのものを、創り上げる。

そして、出来上がったものを、まずは自分たちが目一杯楽しむ。

その楽しさが周囲に伝わり、やがて地域を動かし、世界中の人々の笑顔につながっていく。

そんな未来を現実にする最初の一歩は、案外、仲間たちとの「こんなのあったらいいよね」という、いいノリから始まるのかもしれない。

僕たちは、これから訪れる未来を一緒に面白がり、本気で形にしてくれる仲間を、常に求めている。僕たちが今、どんな未来をつくろうとしているのか。ぜひ採用ページを見てほしい。

少しでも心が動いたなら、まずはそのノリのまま、連絡をもらえたら嬉しい。

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