腹落ちは、現場にある

_SHIP KOMBUCHAの事業を立ち上げ、はや10年が経過しようとしている。

思い返すと、本当に様々な障壁と紆余曲折があった。

そもそも、発酵飲料と縁もゆかりもなかった大泉工場で、KOMBUCHAを事業化するなんて、今振り返っても、とんでもない挑戦だったと思う。

アメリカで買ってきたスターターキットを、当時の開発スタッフに渡したことがある。

後日、そのスタッフは僕にこう報告してきた。

「中身が腐っていたので、捨てました!」

それは、KOMBUCHAを醸造する上で、最も重要なSCOBYのことだった。

呆気に取られたことを、今でも鮮明に覚えている。

社内のスタッフでさえ理解していない飲料を製造し、世の中に広めていく。

誰がどう見ても、ぶっ飛んだ挑戦だったと思う。

当時は、今のように情報を簡単に集められる時代ではなく、発酵や腸内環境に対する関心も、まだ一部に限られていた。

それでも僕は、KOMBUCHAを信じていた。

アメリカやヨーロッパ各地を訪れ、数多くのプロダクトに触れ、醸造家たちと交流する。その現場で感じた熱量が、僕にも伝播していたからだ。

だからこそ今思う。

僕を突き動かしていた熱量を、もっと違う形でスタッフに伝えることができていたなら、_SHIP KOMBUCHAの事業は、もう少し早く前進していたかもしれない。

人々が同じ方向へ動くとき、大切なのは、その目的や可能性に「腹落ち」しているかどうかだと、数年前から感じている。

腹落ちとは、心の底から納得している状態のことだ。

もちろん僕自身も、腹落ちしているかどうかによって、取り組みに対する熱量は大きく変わる。

では、腹落ちはどこから生まれるのだろうか。

時には、尊敬する人から言われたというだけで納得し、熱量高く取り組めることもある。

しかし、それは稀なことだ。

多くの場合、机の上にたくさんの資料を並べ、その一つひとつを読み込み、理解することで、ようやく腹落ちする。

もちろん、それも必要なプロセスだと思う。

一方で、すべてを理解してから動こうとすれば、手間と時間がかかる。時として、それがチャンスロスにつながることもある。

そんななかで最近、改めて行動することの重要性を感じている。

腹落ちしたければ、まず行動する。

それが、僕の見出した結論だ。

話には聞いていた繁盛店。

美味しいと評判の食べ物。

写真を通じて知った、素敵な人。

どれだけ見聞きしていても、実際に訪れたり、食べたり、会ったりしなければ、その本質までは腹落ちしない。

もちろん、距離や時間など、行けるか行けないか、会えるか会えないかといった現実的な壁はある。

しかし、「行けないだろう」「会えないだろう」と、行動する前から決めつけてしまう。そして、誰かから聞いた情報だけで分かったつもりになり、「腹落ちした風」に生きてしまう。

それが、最ももったいない。

僕がKOMBUCHAの事業を立ち上げたとき、すでにその可能性に腹落ちしていた。

LAやTexasのgrocery storeやcafeを訪れ、棚いっぱいに並ぶKOMBUCHAを見て、実際に飲み、その市場に流れる熱量を自分の身体で体験していたからだ。

腹落ちは、机の上だけでは生まれない。

現場に足を運び、自分の目で見て、自分の身体で体験する。そこから初めて見えてくるものがある。

そして、自分が腹落ちするだけでは、事業は動かない。

一緒に働くスタッフや、商品を届ける相手にも、腹落ちする機会をつくる必要がある。

すべてのスタッフに同じ体験を提供することはできないかもしれない。

それでも、できる限り現場を共有し、なぜ自分がそう感じたのかを伝え続ける。それも、経営者として大切な役割なのだと思う。

実は、_SHIP KOMBUCHAの本格的な販売は、ボトルではなく、15リットルの樽から始まった。

まだKOMBUCHAという言葉すらほとんど知られていなかった2018年、僕たちは飲食店のTAPサーバーから、一杯ずつ提供してもらう道を選んだ。

つまり、この樽は単なる業務用商品ではない。

僕たちが日本にKOMBUCHAの市場をつくろうとした、挑戦の原点なのだ。

しかし今、KOMBUCHAの事業において、まだ腹落ちしていないことが一つある。

それは、この15リットルの樽に詰めた_SHIP KOMBUCHAが、なぜ日本の市場に十分受け入れられていないのか、その理由だ。

ノンアルコールという選択肢が広がる一方で、TAPサーバーから注がれるノンアルコール飲料は、まだ圧倒的に少ない。

いくつものTAPサーバーが並ぶクラフトビール専門店でさえ、そのほとんどをアルコール飲料が占めている。

なぜ、時代の流れとは裏腹に、TAPサーバーはアルコール飲料に占領され続けているのだろう。

設備の問題なのか。

価格なのか。

回転率なのか。

それとも、僕たちがKOMBUCHAの魅力を、まだ伝え切れていないだけなのか。

その答えは、会議室でいくら考えても見つからない。

店を訪ね、話を聞き、樽をつなぎ、一杯ずつ飲んでもらう。その行動を重ねることでしか、見えてこない答えがある。

10年前、海外の売場を見たことで、僕はKOMBUCHAの可能性に腹落ちした。

そして今度は、日本のTAP市場に新しい景色をつくるため、再び現場へ出ようとしている。

_SHIP KOMBUCHAには、まだまだ大きな可能性がある。

なぜ広がらないのか。その答えに腹落ちするまで、15リットル樽の営業をやり切りたい。

結局、腹落ちは、現場にある。

そして今、僕たちは、この可能性を一緒に市場へ広げてくれる仲間を探している。

完成した商品をただ売るのではなく、まだ世の中にない市場を、自らの行動でつくっていく仕事だ。店を訪ね、人と話し、一杯のKOMBUCHAを飲んでもらう。その小さな行動の積み重ねが、日本の飲料文化を変えていくかもしれない。

_SHIP KOMBUCHAの可能性に少しでも心が動いた方。僕たちと一緒に、現場で答えを探しませんか。

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