誰と地球を歩くのか

久しぶりに、行ったことのない土地に足を運んだ。

場所はインド。今や人口は世界一、14億人を超え、経済成長も続く巨大国家だ。IT産業やスタートアップ企業が次々と生まれ、これから世界経済の中心の一つになるとも言われている。一方で、街には何百年も変わらない生活や文化も残っており、未来と過去が同時に存在しているような、なんとも不思議なエネルギーを持った国だった。

僕のビジネスとどう関係があるのかと尋ねられると、正直少し答えに詰まってしまう。
明確な行く目的があったわけではないからだ。

インドのスパイスを輸入販売し、自らもプロダクトを作って販売している知人と、偶然再会したことがきっかけだった。
「大泉さん、インド行ったことないなら一緒にいきましょうよ!」
「いいですね!行きます!」
そんな軽いノリで決まった旅だった。

彼の仕事上のパートナーであるミシュラさんが旅行代理店を経営していることから、総勢16名の大所帯でのツアーとなった。
参加者のほとんどが食品関連のビジネスを営んでおり、初顔合わせから関係性は自然と構築されていった。

ただ、僕は海外に行く際、ほとんど自分でプランを組み立てる。
現地の知人やビジネスパートナーに会い、そこで得られる鮮度の高い情報や体験を大切にしてきた。
つまり旅行代理店にお世話になることは、ほとんどなかった。
それゆえに、旅行代理店にマージンを支払うことに対して、どこか勿体ないという思いがあったのも事実だ。

しかし結論から言うと、今回のインドで僕は多くのことを感じ、学び、そして多くの問いを得ることができた。

実を言うと、僕は新興国という場所に、あまり行く意味を見出せていなかった。
理由は単純で、僕が手がけようとするビジネスにおいて、直接的な学びを得られる場所だとは思っていなかったからだ。

世界的なトレンドの発信拠点は、どうしても先進国になる。
そういった場所に行き、最先端の情報をキャッチアップし、日本にローカライズして発信していく。
それが僕のビジネスの進め方だった。
つまり、新興国にトレンドの震源地があるとは考えていなかった。

その考えは、今回インドに訪れてみて、ある意味では間違っていなかったとも思う。
もちろん、たった一週間のツアーで全てを理解したとは思っていないが、少なくとも僕のビジネスの文脈で言えば、トレンドの最先端がそこにあるわけではなかった。

しかし一方で、ビジネスにおいてトレンドが全てではないということを、今回のツアーを通じて知ることができた。
これが今回の旅での、最大の収穫だったと思う。

その収穫をもたらしてくれたのが、旅行代理店を経営しているミシュラさんの存在だった。

僕にとって初めての場所となったインドにおいて、少しでも疑問に思ったことを質問すると、彼は全て的確に答えてくれた。
なぜこのレストランを選んだのか。
なぜこの料理を注文するのか。
北インドと南インドのカレーの違いは何か。
家庭料理を知りたいという参加者の要望に対しては、実際に家庭料理のクッキング教室を特別に開いてくれた。

食事の席では、本当に多くの料理を注文する。
明らかに食べきれない量だとわかっていても、様々な料理を注文する。
理由を聞くと、「せっかく来たのだから、できるだけ多くの味を体験してほしい」と言う。

そこには単なるガイドではなく、
「自分の国を知ってほしい」
「文化を体験してほしい」
という強い意思を感じた。

思えば僕らは普段、効率よく移動し、効率よく食事をし、効率よく情報を集める。
しかし彼の旅の設計は、効率とは真逆だった。
遠回りをし、時間をかけ、たくさんの料理を注文し、様々な人に会わせる。

けれど、その遠回りの中にこそ、その国の文化や価値観、人の考え方が詰まっていた。

多くの国を訪れてきたが、こういった形で全てが用意され、案内されながら旅をすることは、実はあまりなかった。
けれど今回のインドで気づいたことがある。

旅とは、どこに行くかより、誰と行くかで、まったく別のものになるということだ。

同じ場所に行っても、一緒に行く人によって見える景色は変わる。
同じ料理を食べても、一緒に食べる人によって味は変わる。
同じ国に行っても、案内してくれる人によって、その国の印象は全く変わる。

つまり旅とは、場所を移動することではなく、
人と時間を共有することなのだと思う。

そしてきっとそれは、旅だけではなく、人生も同じなのだと思う。

どこに行くかより、誰と歩くか。
何をするかより、誰と時間を過ごすか。
どんな仕事をするかより、誰と仕事をするか。

人生は、場所ではなく、人でできている。

僕がインドに滞在していた3月23日、僕にとって大切な人がこの世を去った。

その人もまた、僕にいろいろな場所を見せてくれた人だった。

今、こうして世界を歩いていられるのは、あの人と歩いた時間があったからだと思う。

誰かと歩くことで、世界は広がる。
そして人生は、誰と歩いたかでできていく。

そんなことを、インドで考えていた。

僕も、誰かにとって一緒に歩きたいと思われるような存在になる。あの人のように。そんな人たちと、これからの地球を歩いていきたい。

そんな可能性を秘めている大泉工場では、新しい仲間を常に募集している。

興味を持ったらぜひ、声をかけてください。

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